秘め事  2012.3

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  何気なく覗き込んだ机の下の陰にかくされていた、
分解された鉛筆削り。

鉛筆を差し込む穴に、モールが差し込まれている。

緑色のモールは、無残にカッターの部分に巻き込まれ、
前進も後退も出来ない具合。

春に購入した鉛筆削り・・・使用不可だ。

息子よ、モールの先端を削ってどうしようと思ったんだい?

「だって、ボールペンも削れたんだもん。」

・・・。

それは何の言い訳なのか、
  母にはさっぱり理解できない。

 以前、小豆を自分の耳に入れて取れなくしたこともあったね・・。


直せるだろうか?
 
いやいや、息子の思考回路ではなく。

羊稚園児遠足引率  2012.6

羊は、群れる。

羊は、人の話し聞かない。

羊は、整列しない。

羊は、一匹走り出すと、意味なく皆制止を振り切って走り出す・・おばさんは叫ぶ。
でも話し聞かないから止まらない。
追いかける、でもすでに、おばさんの足では追いつけない。

羊は、トイレが近い。何往復もするおばさんの体力は消耗。

羊は、ちょっと心細くなると、手を握ってくる。
   ・・・ちょっと不安になると、くっついてくる。

羊たち・・チョッとだけかわいい。

羊が帰りのバスの中で、もらったアメ食べながら
『このアメ、どんぐりの味するー。』

おばさんすかさず
『あんた、どんぐり食べたことあるの?』
…。

別の羊が
『ネェネェ…ドロの味がする。』

おばさんすかさず
『あんたドロ食べたことあるの?』

少しだけ静かになった緑の羊達。

大人気ないおばさんを許しておくれ。
今日は一日、楽しかった。

        でも、もう限界です。

      今夜は羊を数えながら、とっとと寝ることにします。

 

お寺であそぼ!  2013.6

線香の香りを嗅ぐと「ワクワク」する。
  
 我が家の近くにはお寺があり、風向きによって
時折お線香の煙が漂ってくる。 
 
「ワクワク」の記憶。
 
 幼少時、お寺の境内で線香の香りに包まれ
ながら友達とよく遊んだ。
 寺は、公園と同じ遊び場所の一つで、走
り回っても住職も大人もウルサイ事は言わなかった。
 
 お堂の中の暗い仏像を隙間から覗いたり、
お墓の横に隠れたり、子供達はいろんなモノに
見守られながら、遊びに熱中していた。
 
 近頃の寺は子供の声どころか、墓参りする
人も少なくなってるというではないか・・。
 
 うーん。モッタイナイ。

「子供の遊び場が少ない」
「不審者が心配」という声が上がるのであれば、
子供をお寺で遊ばせてやってはいかがだろう。
 
 安心、安全、しかも経済的。
そしてチョット スリリング。

 先祖代々の御霊の方々も、子供
の笑い声なら、お許し願えるのでは?

本の住所  2012.5

  
 「そこのボク、本は元の場所にちゃんと戻
 しておいてね。」
 男の子の(?)という顔。
「ほらここに番号が書いてあるでしょ、同じところに
  戻さないと次に借りる人が・・」と言い終わらないうちに
「ぢゃあ、おばちゃん戻しておいて!」
(カーンコーン)
 そして無情のチャイム。

  現在図書ボランティアとして、小学校の図
書室を整理する作業している。
 
 全国の図書館の本は「日本十進分類法」に
よって3ケタの番号が付けられており、それを
「本の住所」と呼んでいる。
 住所が決まっていれば、迷子になることもなく
所定の位置(家)に、本達は帰ることが出来る訳である。
 しかし、例えば同じドラえもんシリーズでも「体育」
と「歴史」は、全く違う番号が記載されているので、子
供達は混乱するらしい。
 
 今度児童が本を片手に途方に暮れていたら
おばちゃんは教えてあげよう「本には住所があるのよ・・」
 
 チャイムが鳴る前に早口でね・・。

絵にも描けない...2010

休日の朝は穏やかな時間が流れる。
「早く飯食っちまいな!」等と怒り狂う母も居なければ、
トイレの順番を争う醜い姉弟の姿も無い。
果物、クロワッサン、ハム、ヨーグルト等爽やかなメニューが、食卓を彩り、家族の会話にも自然と笑いが起きる。
ここまではいつもの休日の風景。

「おしっこ!」急に立ち上がってトイレに向かう長男の姿に、
家人は「また~?」と微笑。
ここまでもまだいつもと変わらない事。

「ぎゃー!!」
食事を続けていた家族は一斉に顔を見合わせた。
トイレから聞こえる絶叫。その後「うーあ~あ~」
という何とも悲しげな泣き声。
「どうしたー?!」夫のいらっとした大声に何も答えがない長男。
「おしっこ漏らしちゃったんじゃない。」(でも私2歳児の面倒見てるからアンタ様子見てきてよ)と目で指示を出す母。
優雅なモーニングを楽しんでいた夫は重い腰を上げトイレに様子を見に行った。

「わーっなんだー!!ぎゃー!」
夫の恐怖に怯えた絶叫が部屋中に響き渡る。
娘と次男が強張った顔で私を見つめてくる。
「大丈夫、大丈夫・・・。」とは言ったものの、間違いなく大丈夫ではない状況だ。
「パンツ・・ビニール袋!」夫の叫び声の後、嘔吐の音。
更に怯える長女に「大丈夫だから、もう朝食はやめてピアノの練習デモしてみたら?」と穏やかに話し、何だか落ち着かない次男にはアンパンマンのビデオを見せる事にする。
娘が弾く「エリーゼのために」が聞こえ出し、ジャムおじさんがパンを焼き始めた頃、トイレの中で起きた壮絶な地獄絵図が見えてきた。
なんと長男は立っておしっこをしていたら、下痢が大量に噴出。
その中に突入した夫は耐えられず嘔吐。

字にすると2行足らずの出来事だが、決して絵にはしたくない出来事。

総ての清めを終え居間に戻った長男の口元には薄っすらと笑みすらこぼれていたが、夫は20歳は老けた老人、試合後のジョーの様に真っ白に燃え尽きていた。
もちろん、母が最後の掃除、洗濯等きっちり済ませた事は言うまでもない。

優しいおばさん  2013.6

買い物で外出中、
自転車に乗っている高齢の男性が、道を尋ねてきた。
聞けば、よく知ってる近所の病院名をあげ、途方に暮れている。

説明しても分かりにくそうなので、
「ヨロシケレバ、途中までご案内しますよ。」
と笑顔で案内係を買って出た。

喜んだ高齢の男性は、自転車を漕ぎ出した。

え~っと、私 徒歩なんだけどな・・。

ちょっと速足になる私。

・・速足になる私。

駆け足。

全力疾走!

それは高齢者に自転車で追いかけられる、買い物袋を下げたおばさんの図。

通行人も何事かと不思議そうに振り返って行く。



「あ、後は、ここを・・まっすぐに左手にアリマス」

息も絶え絶えに説明する私に、おじいさんは爽やかに手を振り
走り去って行った。

しばし、後ろ姿を見送り何事も無かった様に
家路についた。

ボロボロに敗れた買い物袋だけが、私の優しさを知っている。

猛獣かよっ!  2014.9

娘は口のキキカタが悪い。
悪い年頃なのかもしれないが、許せない。

いつものように生意気な口をきくので叱った。
叱っているうちに怒りに変わり、ヒートアップし
怒鳴りだし、一歩前に進み出た。

・・・と恐怖にオノノイた娘が絶叫しました。

「誰かっ!お母さんの動きを止めてーっ!!」