優しいおばさん  2013.6

買い物で外出中、
自転車に乗っている高齢の男性が、道を尋ねてきた。
聞けば、よく知ってる近所の病院名をあげ、途方に暮れている。

説明しても分かりにくそうなので、
「ヨロシケレバ、途中までご案内しますよ。」
と笑顔で案内係を買って出た。

喜んだ高齢の男性は、自転車を漕ぎ出した。

え~っと、私 徒歩なんだけどな・・。

ちょっと速足になる私。

・・速足になる私。

駆け足。

全力疾走!

それは高齢者に自転車で追いかけられる、買い物袋を下げたおばさんの図。

通行人も何事かと不思議そうに振り返って行く。



「あ、後は、ここを・・まっすぐに左手にアリマス」

息も絶え絶えに説明する私に、おじいさんは爽やかに手を振り
走り去って行った。

しばし、後ろ姿を見送り何事も無かった様に
家路についた。

ボロボロに敗れた買い物袋だけが、私の優しさを知っている。