絵にも描けない...2010

休日の朝は穏やかな時間が流れる。
「早く飯食っちまいな!」等と怒り狂う母も居なければ、
トイレの順番を争う醜い姉弟の姿も無い。
果物、クロワッサン、ハム、ヨーグルト等爽やかなメニューが、食卓を彩り、家族の会話にも自然と笑いが起きる。
ここまではいつもの休日の風景。

「おしっこ!」急に立ち上がってトイレに向かう長男の姿に、
家人は「また~?」と微笑。
ここまでもまだいつもと変わらない事。

「ぎゃー!!」
食事を続けていた家族は一斉に顔を見合わせた。
トイレから聞こえる絶叫。その後「うーあ~あ~」
という何とも悲しげな泣き声。
「どうしたー?!」夫のいらっとした大声に何も答えがない長男。
「おしっこ漏らしちゃったんじゃない。」(でも私2歳児の面倒見てるからアンタ様子見てきてよ)と目で指示を出す母。
優雅なモーニングを楽しんでいた夫は重い腰を上げトイレに様子を見に行った。

「わーっなんだー!!ぎゃー!」
夫の恐怖に怯えた絶叫が部屋中に響き渡る。
娘と次男が強張った顔で私を見つめてくる。
「大丈夫、大丈夫・・・。」とは言ったものの、間違いなく大丈夫ではない状況だ。
「パンツ・・ビニール袋!」夫の叫び声の後、嘔吐の音。
更に怯える長女に「大丈夫だから、もう朝食はやめてピアノの練習デモしてみたら?」と穏やかに話し、何だか落ち着かない次男にはアンパンマンのビデオを見せる事にする。
娘が弾く「エリーゼのために」が聞こえ出し、ジャムおじさんがパンを焼き始めた頃、トイレの中で起きた壮絶な地獄絵図が見えてきた。
なんと長男は立っておしっこをしていたら、下痢が大量に噴出。
その中に突入した夫は耐えられず嘔吐。

字にすると2行足らずの出来事だが、決して絵にはしたくない出来事。

総ての清めを終え居間に戻った長男の口元には薄っすらと笑みすらこぼれていたが、夫は20歳は老けた老人、試合後のジョーの様に真っ白に燃え尽きていた。
もちろん、母が最後の掃除、洗濯等きっちり済ませた事は言うまでもない。